UC機構:入学選考基準を変更
2012年秋から実施、アジア系学生に不利か
2009年5月17日
【加州サンフランシスコ=AP】カリフォルニア大学(UC)機構の新し
い入学選考基準が2012年から実施されることになった。アジア系学生
が好成績を挙げている大学進学適性テスト受験を必須条件としないとした
新基準により、アジア系学生の入学者数が大幅に縮小されるとの懸念がア
ジア系学生、両親や一部州議員の間に広がっている。
1960年以来の大幅改革となる新選考基準は今年2月、カリフォルニ
ア大学機構理事会で全員一致により承認された。UC機構当局者によると
「最も大きく変わる点は、志願者の枠を拡大し、より多くの志望者の中か
ら公正に選考する」こととしている。このため、現在UC機構の9キャン
パスに応募する高校生が受けている2つのSAT(大学進学適性試験)の
必須制度を取りやめ、SAT試験の成績だけをもとにして入学が保証され
ている生徒の数を減らしていく。
アジア系の学生数の比率は、現在UC機構9校全体で40%に達してい
る。アジア系学生、両親、議員たちは、「(新しい)入学選考基準は、ア
フリカ系やヒスパニック系の学生にほとんど影響せず、白人学生に有利に
なる反面、アジア系学生の数が急激に削減される結果になる」とし大学機
構側に新基準の撤回を求めている。
UCバークレー校のリンチー・ワング元教授は「新しい基準は白人学生
優遇措置とも呼べる内容で、アジア系学生には著しく不利になる」とみて
いる。また、「UC機構当局はアジア系の学生数を減らそうとしている」
と憤慨するアジア系アメリカ人の意見や、「アジア系学生の入学者数を減
らす目的ではないとしても、結果的にはアジア系学生数は減少する」とみ
る意見もある。
UC機構当局は、「新しい入学選考基準は、人種的多様性を図ろうとす
る意図はない」と主張し、新基準が1996年に有権者により承認された
「アファーマティブ・アクション(優遇措置)廃止」に違反するという申
し立てを否定している。UC機構のマーク・ユードフ総長は、「この政策
の一番の目的は、公正であることであって、不必要と思われる壁を取り除
くものだ」と述べ、「親たちからすると、自分の息子や娘たちの入学申請
書がもっと広範囲に審理されることになる」と説明。「新基準のもとで、
アジア系学生は20%減少する」とする一部の研究結果に対しては「結果を
正確に予測することは不可能だ」としている。
今まで必須だったSATの試験に関し、「この(SAT)テストで誰が
UCキャンパスでやっていけるか判断するのは難しい。しかも他の公立大
学では(入学の際に)SATの試験を必須としていないし、成績優秀な学
生がSATを受けないため不適格と見なされる場合も多い」と証言する大
学職員もいる。
この新基準は、高校の教育課程を修了する全学生を対象に志願者を募
り、主要なSATもしくはACT(アメリカン・カレッジ・テスト)の試
験を受け、平均3・0以上の成績評価を維持する志願者に入学申請枠を広
げることになるという。
2012年秋からの入学選考でも、これまで通り希望するキャンパスご
とに申請書を提出する必要がある。高校での成績、テスト・スコア、課外
活動などの個々の実績を考慮した選考が行われるものの、人種は問わない
としている。新基準により応募者数は増加する見通しで、競争倍率も上が
ると見られている。
UC機構に通う大学生は現在17万3000人だが、アジア系の学生数が
その中でも飛び抜けて多く、2008年には、最難関とされるバークレー
校で43%、ロサンゼルス校で40%を占めた。他のキャンパスでは、サンデ
ィエゴ校50%、アーバイン校54%となっている。全米トップレベルの公立
高校の1つであるサンフランシスコの「ローウェル高校」の生徒約70%は
アジア系で、40%以上の生徒が卒業後、UCキャンパスへ進学している。
カリフォルニア州のアジア系アメリカ人の人口は12%、米国全土では約
4%となっている。 【訳=秋山千聡】
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